わたしが最初に学んだ法律は不動産登記法です。土地家屋調査士の資格を取ろうとして、初めて法律を学んで感じたことは、
何これ、チョー難しいじゃん。どこまで勉強するのよ。終わりがないじゃん。てゆーか、そもそも日本語なのこれ?
という漠然とした不安と絶望でした。
法律に限らず、何かの勉強を始めるには勉強する対象の全体像をつかむと良い、と言われています。
そこで、全体像をいち早くつかむために役立つのが『入門書』です。法律を学ぶのにも入門書がありますね。
それで、本記事では、土地家屋調査士・司法書士・行政書士の資格を持つタケさんが、法律を学び始めるのにちょうど良い入門書をお勧めしたいと思います。
資格取得のための予備校の入門講座を取るよりも、安いし学びやすいのでおすすめです。
この本を読み始めて、次に『予備試験』にチャレンジしようかなと思うようになりました。やはり法律の勉強は楽しい!!
もくじ
伊藤真ファーストトラックシリーズ
法律を学ぶ人でもはや知らない人はいないという伊藤塾。その塾長の伊藤真先生がタイトルにも帯にも前面に押し出されている『伊藤真ファーストトラックシリーズ』です。
ファーストトラックシリーズの特徴
最初でも述べましたが、法律の勉強をしていて不安になるのは「勉強量が多すぎる」「何が重要なのかわからない」「言葉が難しすぎ」といったことです。
その問題を解決しているのがこのシリーズ本でしょう。この本の特徴をいくつか挙げていきましょう。
初学者が学ぶべき本当に重要なポイントを絞り込んでいる
法律の勉強量、特に予備試験・司法試験の勉強となると勉強量が多すぎて、それだけで挫折してしまいそうになります。
しかし、入門書であるファーストトラックは無理なく学ぶことができます。
各科目、200ページから250ページくらいです。なぜなら、
本当に重要なポイントに絞って学習量を圧縮しているから
そのおかげで各科目の全体像が見えてきます。法律初学者が陥りがちな、
木を見て森を見ず
という状態を避けることができるのです。
「重要な点に絞っている」といっても軽い読み物という感じではありません。司法書士試験、行政書士試験合格者のわたしが読んでも、
「ほぉ、なるほど、そういうことだったのか」
と気づかされる記述がいたるところに散りばめられています。
さすが、伊藤塾のテキストですね!(伊藤塾から宣伝費用はもらってませんよ)
ケースメソッドで学ぶことができる
大切な論点は例題を使って考えさせる記述となっています。
主に重要判例を例題にしているという感じですね。解答にいたるまでの記述が論理的で、わかりやすく説明されているので『暗記するというより理解』できます。
側注の情報が充実している
ページの余白部分には側注があり、本文を補助する役割を果たしています。
- 条文
- 用語説明
- 判例の事件名
などなど、気の利いた情報が載せられています。特に『条文』は便利です。本格的な学習が始まれば六法を見て条文を確認したほうがいいですが、入門の段階ではそこまでする必要はないでしょう。
しかし、入門の段階から条文に触れることは大切です。そういう意味では側注に条文を記載してくれているので便利です。
では、以下で実際にファーストトラックを読んだ感想を述べてみたいと思います。
全部読めてないので、読んだ科目だけレビューします。読んだら追記する予定です。
ファーストトラック1 憲法
法律を学ぶ者が最初の挫折を味わう科目、それが憲法です。わたしも例外ではありません。
今でも思い出します。わたしが司法書士試験を受験しようと決意して最初に手に取ったテキストが、同じ伊藤塾の通称『シケタイ』でした。
皆さんも知っていると思いますがこの本、
これって、六法全書だよね。
てくらい分厚いです。何かの重石に使えるくらいのテキストでした。これを最初から最後まで読んだ人を尊敬します。わたしは『マクリーン事件』あたりで諦めましたよ。
それに比べて、このファーストトラック憲法は読了できます。これを読み切れないなら逆の意味で法律の勉強を諦めたほうがいいでしょう。それくらい楽しんで読み切ることができます。
二重の基準論や合理性の基準という初学者では分かりづらい部分も、絵や図を用いて分かりやすく解説しています。
一般教養としての普通の読み物としても楽しめるテキストです。
ファーストトラック2 民法
120年ぶりの債権法改正が巷で騒がれています。そういうわけで、改正法に対応していない民法の本はもはや必要ありません。
※2021年2月追記
ファーストトラックの民法改訂版でましたね。
ファーストトラック3 刑法
刑法は司法書士試験の受験科目に含まれていましたから、ある程度はで勉強していたことがあります。そのわたくしが読んだ感想ですが、
えっ、これ入門書なの?めちゃ詳しいじゃん。
というものでした。単に試験勉強から期間が経過しているために内容を忘れているというのもありますが、結構読みごたえがある内容になってます。
正当防衛や緊急避難、共犯の部分は理解できるためにわかりやすく解説しているなぁという感じでした。
あと、一番感心したのは『罪数』の観念的競合の解説ですね。何が感心したかは是非読んで確かめてみてください。
司法書士試験の刑法はこの本でも十分対応できるかもしれませんね。それほどよくできた本です。
ファーストトラック4 商法【第2版】
司法書士試験の受験生の時代、商法・会社法と聞くと拒否症状が出るくらい苦手な科目でした。でも、会社法が足を引っ張って合格できない状況があったので、めちゃくちゃ勉強したこともあり、今ではそんなに不得意というわけではありません。
そんなわたしが読ませてもらいましたが、
うーん。なかなかメリハリの効いた記述ですね
という感じです。要点を抑えつつ、それでいて細かいところまでは入り込まないという絶妙さがあります。
ただ、この本だけでは司法書士試験の会社法には到底太刀打ちできないでしょう、ということも申し添えておきましょう。行政書士試験についてはこのテキストで十分です。
ファーストトラック5 民事訴訟法【第2版】
民事訴訟法はなぜかまだ手が伸びず、読了してません。司法書士試験では会社法に次ぐ苦手な科目でした。手続法って勉強しててもイメージが湧かないんですよね。裁判なんてしたことないし、今でもそんなに裁判に頻繁に関わるわけでもないし。
でも認定司法書士を名乗るからには、民事訴訟についても理解を深めたいので、読み進めたいと思います。読んだらレビューしたいと思います。
追記
やっと読み終わりました。司法書士試験や認定考査でも苦戦した民事訴訟法ですが、結構覚えていたのでスラスラと読めました。
処分権主義や弁論主義については少し詳しく書かれていたと思います。
一番良かったのは『既判力』の部分です。3章にかけて詳しく説明されていました。司法書士のテキストにはない丁寧な説明で、なるほどと思うような記述でした。
予備試験や司法試験では詳しく問われるのでしょうかね。入門用にはいいテキストだと思います。
ファーストトラック6 刑事訴訟法【第2版】
司法書士や行政書士でも受験科目に含まれていないので、初めて学ぶ科目です。
ですから純粋に入門書として読むことができました。その上での感想は、
やっぱり読みやすいんだなぁ、予備校の入門書
もしかしたら、刑法の知識が少しあるのでそう感じたのかもしれません。
でも刑事訴訟法最大の山場とされている『伝聞』の部分も何回かに分けて丁寧に説明されているという感じです。入門者としては十分な知識は得られたと思います。
入門書として本当にお勧めです。
ファーストトラック7 行政法
えぇ、行政書士試験でも苦労しましたよ。行政法です。これもメリハリのある記述がなされていて、スラスラ読める感じがしました。
特に『行政救済法』のあたりは参考になった部分が多いです。具体的な事例に当てはめながら説明されているので、予備試験や司法試験の論文だったらこんな感じで論述するのかな、というイメージをすることができます。
行政書士試験はこのテキストと過去問で十分だと思いますが、行政手続法のあたりはもう少し詳しい記述があれば良いかもしれませんね。まぁ、読んでみて足りなければもう少し詳しいテキストを買って読みましょう。
伊藤真ファーストトラックシリーズを読んだ感想
というわけで、主に予備試験や司法試験受験のために法律を学び始める入門書としておすすめの『ファーストトラックシリーズ』のレビューでした。
ここ2ヶ月くらいブログを書くのも忘れて実際に読んでいましたが、結構楽しんで読むことができました。
法律初学者はこのシリーズを完璧にすれば、結構な実力がつくのではないかと思います。
これから法律を勉強しよう、あるいは勉強し直してみようかな、と考えている方たちの参考になれば嬉しいです。
タケさん(@takesanblog)でした。
これと過去問だけで行書は無謀?
う〜ん。過去問完璧にすれば無謀ってことはないけど、行政法と民法に関してはちょこっと内容が薄いかもしれませんね。