司法書士として仕事をしていると、サラ金やクレジットカードの利用で借金がふくらんで返済できないという人の相談を受けることがあります。
初めのうちは相談内容を聞いていると、
なぜこんなに借金増えるまで放っておいたのよ…
と思うこともありましたが、最近では
いろいろな事情があって借金が返せなくなったのだな…
と考えるようになりました。もちろんギャンブルや浪費によって借金が返せなくなったという自業自得の人たちもいますが
- 失業して生活のために借りてしまった
- 妻や子どもの病院代が払えなくなって借りてしまった
- 離婚して子どものためにお金が必要だった
というような少しかわいそうに思える人たちもいます。
そんな人たちにわたしが勧めるのが、任意整理の手続きです。
もくじ
任意整理とは借金の返済をラクにする手続き
任意整理とは、債務整理の手続きの中の1つです。債務整理には大きくわけて、
- 任意整理
- 民事調停
- 個人再生
- 自己破産
の4つの手続きに分けられます。過払い金請求は債務整理に含まれるかは微妙なところですが、それぞれの手続きを行っていくなかで過払い金を請求していくのであえて含めていません。
過払い金については下記の記事をご覧ください。
任意整理とは、裁判所を関与させずに借り入れ先からの借金返済をラクにしていく手続きです。
将来発生する利息をカットしたり、3年から5年くらいの長期分割返済の交渉をすることによって月々の返済額を減らし、借金を確実に減らしていくことができます。
借金の返済はなかなか終わらないことが多い
消費者金融やクレジットカードのキャッシングって、利息が高いんですよね。
昔は29.2%の利率で利息をとっていました。今でこそ利率は15%から18%くらいになっていますが、それでも高いです。
例えば、50万円借りていて利率が18%の場合、年間の利息は9万円です。月に1万5000円づつ返しても半分くらいは利息に取られてしまう計算になります(実際には元本が減れば払う利息も減りますが、わかりやすく説明するためにあえてこのような計算にしてます)。
これではなかなか借金の元本は減っていきません。そして、少し借金が減ったと思ったらまたキャッシングを繰り返すことによって、いつまでたっても借金が減らないという悪循環になっている人が多いです。

借りては返し、借りては返しの自転車操業になってしまう人が多いですね。
任意整理するメリット
いつまでも借金が減らないという人は、一つの貸金業者に返済するために別の貸金業者から借りるという自転車操業になっています。そんな人が借金生活を終わらせるために任意整理はとても助かる手続きです。
月々の返済金額が大幅に減ります
例えば、A社で50万円、B社で50万円の合計100万円の借金がある人の場合を考えます。
A社とB社に月2万円ずつ合計4万円返済していたとします。任意整理をすることでどれくらいの返済額まで下げられるでしょうか?
5年返済の交渉をしていくことで、A社とB社の合計で月に約1万7000円くらいの返済額まで下げることができます。

月々の支払いが半分以下になるので返済がとても楽になりますね。
将来発生する利息を大幅にカットできます
先ほども少し話しましたが、借金がなかなか減らない大きな理由は利息が高いからです。返済しても利息に当てられる部分が多いので、元本が減っていきません。
そこで、任意整理では「利息をカットしてください」とお願いしていきます。
貸金業者は利息で利益を得ていますから、そんなに簡単に利息をカットしてくれるのかという疑問を持たれるかもしれません。

貸金業者もこのまま返済してもらえなくなるよりは、元本だけでも返してもらえた方がいいので、大抵の貸金業者は利息のカットに応じてくれますよ。
任意整理するデメリット
ブラックリスト(信用情報)に影響します
任意整理をすると「信用情報」いわゆるブラックリストに任意整理をしたという情報が掲載されます。
ブラックリストに載ると以下のことができなくなる可能性が非常に高いです。というよりできなくなると考えた方が良いでしょう。
- 金融機関やクレジット会社のローンを新たに組んだり追加融資を受ける
- 消費者金融でキャッシングをする
- 新しいクレジットカードを作る
- 誰かの保証人になる
- 携帯電話を分割で購入する
ブラックリストに一生載ったままになってしまうのでしょうか?
そうではありません。
返済中に加えて、返済が終わってから5年間はブラックリストに情報が掲載されることになります。
ですから、たとえば任意整理をして5年で返済していくことになった場合、合計10年はブラックリストに載ります。その後ブラックリストの情報は消されることになります。
なお、ブラックリストに載ることで家族に影響することはありません。
利用中のクレジットカードは利用停止になります
任意整理するさらなるデメリットは、任意整理の手続きの対象となるクレジットカードは解約となり使えなくなってしまうことです。
例えば、JCBのカードを任意整理の手続きをしたとします。そうするとJCBのカードは当然使えなくなります。では、他に楽天カードを持っていたら楽天カードはそのまま使えるのでしょうか?それは「どうなるかは分からないが、使えなくなってしまう可能性が非常に高い」というようにアナウンスしています。任意整理することで信用情報に登録されますので、その情報を見たカード会社が更新を停止したり、利用枠を下げてくることがあります。ただ、任意整理の手続きをしないカードをずっと使えたという人もいますから、人によって状況は違うということになります。
住宅ローンはどうなる?
基本的に住宅ローンを任意整理の手続きの対象としていなければ影響はありません。しかし、住宅ローンの引き落としになっている銀行のカードローンを任意整理する場合、口座が凍結されるので住宅ローンをその口座で引き落としにしている場合は注意しなければなりません。
たとえば、三菱UFJ銀行で住宅ローンの引き落としをしている場合で、三菱UFJ銀行のカードローンであるバンクイックの借金を任意整理しようとするときは注意が必要となります。
バンクイックの任意整理をすると、三菱UFJ銀行の口座が凍結されてしまって、住宅ローンの引き落としができなくなってしまうからです。
任意整理の費用はどれくらいかかる?
任意整理の手続きの費用は、弁護士事務所や司法書士事務所によって異なります。
- 任意整理の手続きをする会社1社につき3万円から5万円
- 借金の減額できた分の成功報酬を取るところもある(10%とか20%)
- その他実費や手数料がかかる
だいたい上記の費用がかかります。
減額報酬とは、借金がどれだけ減ったかによって決められる報酬です。例えば、アコムに借金が100万円あったとします。アコムに任意整理の手続きをしたら実は過払い金が40万円発生していました。その場合、借金は60万円に減額されることになります。その減額した40万円の10%とか20%が報酬としてかかってくるということです。
そして残った60万円の借金に対して任意整理の手続きをしていき、利息カットや分割払いの交渉をしていくことになります。

費用がかかったとしても任意整理の手続きをすれば、月々の返済はラクになりますし、貸金業者に支払うトータルの金額は少なくなりますから必ずメリットがありますよ。
任意整理をして借金に追われる生活から抜け出しましょう!
この記事では任意整理について説明してきました。借金を抱えていて返済する生活を続けていると不安になることもあります。
- いつになったら返済が終わるのだろう
- 来月はいくらくらい返済しなければならないのか
- 返済するお金がないからまた借りないといけないな
10年くらいそんな生活を続けているなら任意整理をしてみましょう。
3年から5年後には借金のない生活に戻れます。不安な毎日から抜け出す方法のひとつとして任意整理を活用してみてください。
タケさん(@takesanblog)でした。